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ゆかれいむが俺の

ロード。

ゆかれいむ。コミカル。甘め。

追記で開きます。



寒い日だ。

掃除とかそういうレベルじゃなくて、やる気が出ない。

「みかん食べたい…」

というわけで、炬燵に居る。

巫女稼業も楽じゃない。
たまにはお休みも必要なのだ。


「いつも通り、暇そうね、霊夢」


たまのお休みに限って迷惑な妖怪共に邪魔されたりするわけで、これは確かにいつものことだから、もう慣れてしまった。
巫女稼業も本当に楽じゃない。


「みかん食べたい。」
「ねぇ霊夢、ちょっと手伝って欲しいのだけれど」

大概、他人の話を聞かないやつだ。私は今みかんにしか興味がない。

「みかん食べたい…
って!!紫?!
昼間っからなんて格好してんのよっっ」

みかんが、二つのみかんが、じゃなくて、みかんなんかじゃ到底言い表せない二つの大きな何かが、いきなり私の目の前に鎮座しているのだ。
そりゃ誰だって焦る。
焦るとかいうレベルじゃない。
テラ焦る。いや、神社焦ると言うべきか。巫女だし。

「だから、手伝って欲しいの。他人の話を聞かない人間ね。」



よく見れば彼女は服を着ていないわけではなかった。
ただ、非常にだらしない。
美しい藤色の振り袖なのだが、色んなところから、紐やら帯やらが垂れ下がって、ついでに前が当然のようにはだけて、あられもない感じ。

「さすがに振り袖は一人じゃ着られなかったわ」
「なんで、それで、そんな格好でここに来るのよ」
「着せてもらおうと思って」
「はぁ?…アンタがいっつもつれてる、狐や猫にやらせなさいよ。私はアンタの式神じゃないし」
「藍は今橙の着付け中。トラブル特盛で、長くかかりそうよ」
「トラブルって…。そうよ、着物っていうなら、幽々子じゃない。暇そうじゃない、アイツなら」
「霊夢は暇じゃないの?」
「巫女は忙しいの」
「そうは見えないわねぇ。どうでもいいわ。手伝ってよ」
「どうでもよくない! あー、てかアンタ、隙間使えば一発じゃないのよ。わざわざ他人に頼む必要…」
「こないだ外界で素敵な和菓子仕入れちゃった」
「全力でやらせていただきます」


なんだか口車に乗せられた感が否めない。胡散臭い奴だ。
このやり取りのうちに、紫は隙間から脚を抜いて畳に降り立っている。
脚も、酷いはだけよう。
ただ露出させたいだけと違うんかコイツ。


「ほら、やるならちゃっちゃとやるわよ。取り敢えず全部脱いで。」
「いやん、霊夢のえっち」
「〜馬鹿っ」


顔を赤らめながらも大胆に脱ぐのだから、この露出狂め。




「はい、次、これ着る。」

「駄目よ、霊夢。そこは段階を踏まなくちゃあ」

「段階? 着る順番は合ってると思うけど」

「『綺麗ね、紫…』
『紫ったらスタイルいいのね…襲いたくなっちゃう』
…まずはここからでしょう?」

「出 て け」


まぁそんなこんなで紫の言葉を華麗にスルーしつつ、スルーしてたら紫がいじけたわけで、ちょっと可哀想になって優しい言葉をかけてやったら案の定調子に乗って無茶な要求を飲まされたりとか、まぁ色々あって、

「ひどいわ、そこを略すなんて」

…神出鬼没にも程があるコイツは放っておくとして、

「ねぇ霊夢、どうして今日のことを日記になんて書こうと思ったのよ?……そんなに…良かった…?」

「うるさい!潤んだ目で見つめないでよ変態!日記はいつも書いてるの。巫女だもん当然よ」

「よくサボってるじゃない」

「…なんでアンタが知ってんのよ」

神出鬼没なヤツは放っておくとして、話を進めよう。

まぁそんなこんなで、私は完璧に着付けていった。振り袖というのはやたらめったら紐を巻き付けるもので、そろそろその作業にも飽きてきていた。

それにしても、やっぱり紫には紫色が似合う。
勿論私の完璧な着付けのおかげではあるけど、藤に身を包んだ彼女は美しかった。
外の世界では、これは紫の話だから信用はおけないけど、日本人はみんな黒髪なんだそうだ。だから、紫みたいに金色の髪でお着物を着るのは、歓迎されないんだって。
そんなの全然関係ないなって思えた。藤色の淡さと、ブロンドの優しい光がきらきら溶け合って、ろくでなしの妖怪には不釣り合いなほど艶めいていたのだ。まぁ、あとはボサボサの髪をどうにかすればの話だけど。

で、紐を結んでいたわけだ。紫の正面で。
彼女の髪に注目する。
見上げる。


「ぶふふぅっ」


視界が真っ暗になった。


「なっ、ばっ、ちょ、何す」

「言えてない言えてない」

温もり。肩に、背中に、それから顔に。いきなり強い力で抱き締められたら、そりゃ誰だって…

「ごめんなさいね、霊夢」

「…謝るなんて紫らしくないのね」

「だって貴女、お顔が真っ赤」

「…〜っっ。馬鹿ぁっ。離れてよっ」

「嫌よ〜おほほ」

誰だって、心臓にくるだろうって話だ。

「出来心なのよ、ついついね、抱きつくのに丁度いい小ささだったんだもの。可愛いわね、霊夢は」

「アンタが大きすぎるのよ…色々…」

「色々?」

「失言!」




紫はなかなか私を離そうとしなかった。

「ねぇ、大丈夫なの?」
「何がかしら?」
「どこかに出掛けるんじゃないの?」
「あら、どうしてそう思うの?」
「はぁ?だって、振り袖…」
「趣味で着ちゃあいけない?」

私は一瞬絶句した。

「…藍や橙まで?」
「あの子たちは私の式神とその式神よ?私が式を組んだら絶対じゃない。」
「…こんの迷惑妖怪」

付き合わされる妖獣たちの苦労が思いやられる。振り袖を着るのは、本当に大変なのに。
…ん?
そうだ、大変だったじゃないか、ここまで紫を紐でぐるぐる巻きにするのは!
私はようやく気がついた。
紫の馬鹿らしい道楽に付き合わされたのは、奴らだけではない。

「馬鹿ぁっ」
「へ?いきなり何よ」
「どうしてくれるのよ、私の休息!」
「…あぁ。自分で引き受けたんじゃない。言い掛かりだわ。」
「むきぃっ」


「…そうね」


紫は一呼吸おいて、私を優しく見つめた


「怒っているわりには、私の腰に回っているのは誰の手だったかしら」
「…!!」

…ように感じただけだ!優しくない優しくない。完璧に私をからかって楽しんでいた。
そんな作戦にひっかかるもんか。
巫女だぞ、こちとら。

それから…





>゜))彡



「霊夢、妙な落書きをしていないで続けたら?
そのあとは、私が振り袖を脱いで、二人で和菓子を食べたのよ。」

「覚えてるわよ、そんなもん。ただ…」

「ただ?」

「オチが思い浮かばないのよ、オチが!」

「オチ?そんなものが必要かしら」

「必要に決まってるでしょ?!このままじゃ、私がただ紫に弄ばれてたようにしか見えないわ。」

「事実、そうじゃない」

「ぬけぬけと!
何か壮大なオチが必要よ、紫が私に退治されて金輪際おとなしくすることを誓うとか」

「日本語がおかしいわ、霊夢。
…それに」

「何よ?」

「オチなんて必要かしら。こうした平和な日常を慈しむことが出来るのは、いつだって随分経ってからなのよ」

「平和じゃないもん」

「そうね。ドキドキした?」

「するわけない!」

「そう。それだけ日常、と」

「そんなことは言ってない」

「ねぇ霊夢? 私はドキドキしたわ。貴女ったら柔らかくて本当に良い匂い。
…もっと甘いオチなら、大歓迎ですわよ?」



「あっち行け、馬鹿妖怪」


こうして。
私の貴重なお休みは、また一日奪われたのだった。

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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